2015年01月07日

◆どういう経路で雇うのか(バックナンバー)

 そもそも一人で起業したのか、仲間や家族と共に起業したのかでも違うのだろうが、役員や生計を一にする家族以外の従業員を雇う場合、どういう経路で雇うのか。知人・友人に知己がいて公募をしなくてすむならたやすいかもしれない。そういう知己もなく、或いは一線を画すため外部からの人材を投入したいと考えているかもしれない。
 外部からの公募を考えているなら、いちばん一般的な経路は「ハローワーク」であろう。広告費もかからないため気軽に利用できる。

「ハローワーク」での募集、求人票の記載項目は以下のようなものである。
1. 仕事の内容 応募者にわかるように、的外れの応募者を除外するためにもできるだけ詳細に記載しておきたい。
2. 雇用形態 フルタイムで働く人材を募集するのかパートでの採用を検討しているのか。ここは案外重要。フルタイムでの就職希望者の方が、応募する方も、雇用条件や環境、仕事内容をより重視する傾向にある。そのあたりを踏まえ、社会保険の整備、規則や賃金規定も速やかに整備していく心積もりが必要になる。フルタイムでの就業希望者は長期的視野での職探しをしている人が大半だからである。もちろん雇う方も、同様であろう。そのため、賃金も高めの設定になり、ベースアップやその他福利厚生制度も検討していかなくてはならない。誰にでもできそうな簡単な作業を短時間手伝って欲しいと考えているのなら、パート採用の方が良いかもしれない。比較的、安価での採用が可能となる。
ここで検討材料に入れていただきたいのが、社会保険の加入条件である。所定労働時間が週20時間以上で雇用保険の加入要件に該当し、(大雑把に言って)週30時間以上で健康保険や厚生年金保険の加入要件に該当することになる。逆に言うと、所定労働時間が週20時間未満の場合は雇用保険にさえ加入することができない。
だからと言って、パート2人の方が正社員1人よりも良い、と短絡的に考えるべきではない。常勤者と非常勤者とでは、結果的に任せられる職務に差異ができるであろうことは容易に想像できる。どのような仕事を任せたいのか、それによって得られる利益、そのあたりをよく検討したうえで決定したいものだ。
3. 勤務時間・就業日(休日)  事務系の正社員で大道なのが土日を休日とした「完全週休2日制」プラス祝祭日に夏季・年末年始休暇付与といったものでそうなると年間休日日数は120日あまりになる。ところで、法定休日は週1日であるから、週6日勤務としても何ら問題はない。ただし、週の所定労働時間は40時間(条件によっては44時間)以内となるようにすること、休憩時間を法定以上に与えることは必須である。法律では、1日6時間超の勤務で45分間以上、8時間超の勤務で60分以上の休憩を勤務時間の間に入れることとなっている。拘束10時間の勤務で休憩2時間とした場合も合法、残業手当も不要となる。しかし、その条件が職務に見合うのか、競業他者との比較で考慮いただければ、採用活動のプラスになるかマイナスになるかも察せられるであろう。パートの場合は週の所定労働日数・時間数(有給休暇付与日数の根拠ともなる)も記載要となるが、何時から何時の間で「応募者の希望を考慮」「応相談」等の記載でも良い。
4. 加入保険 (労災・雇用・健保・年金・基金等) 先ほども少し触れたが、従業員を1人でも(フルタイムでもパートでも)抱えれば、労災保険への加入は必須である。そして、所定勤務時数が週20時間以上の従業員が1人以上いれば、雇用保険への加入も必要になる。いわゆる狭義の社会保険(健康保険や厚生年金保険)への加入要件は、事業所が法人であれば必須であるし、個人事業であれば、業種によって異なるが、原則、サービス業以外で従業員5人以上であれば強制加入事業所である。強制加入事業所でなくても、社員の同意を得て、任意加入事業所になることはできる。
これらの保険が整備されているかどうかを重視する応募者は多いので、加入していた方が人材確保は容易になるが、会社の保険料負担は多大であるし、加入に比べ、脱退の方が要件が厳しくなっているので、長期的な経営力を見通しておく必要がある。ちなみに「人件費は賃金の1.4倍」というのが平均的試算といえるだろう。
5. 定年・就業規則の有無・退職金の有無・
定年制を設ける場合、現段階でも必ず60歳以上としなければならず、65歳未満に設定する場合は「継続雇用制度」を導入しなければならない。就業規則は、従業員数が10人以上になると必ず定めなければならず、監督署への届け出も必要となる。しかしながら「就業規則」がないということは従業員優位にまったく枠をはめられないことになるので、従業員数が少ないうちからの制定を強くお勧めする(詳細後述)。退職金制度についても、現段階での有無を記載する。
6. 賃金 
締日・支給日は当然のこと、月給制(欠勤しても控除されない)・日給月給制(欠勤した場合は日割り計算で控除)・日給制・時間給制・年俸制の別を記載し、その金額を記載する(手当がある場合は、基本給と分けて記載)。また、昇給・賞与についても前年度実績記入欄があり、有無および有る場合はその金額または○ヶ月分等の記載も必要になる。
7. 選考方法および結果通知
書類選考、面接、その他テストを課すのかといった選考方法、提出すべき書類(履歴書・職務経歴書・等)や選考結果をどのような形でいつごろ知らせるのかまであらかじめ決めておく必要がある。
8. その他
通勤手当支払いの有無やマイカー通勤を許可するのかといったことも記載事項である。通勤費は実費全額支給としている事業所が多いが、上限を設けているところもかなりある。全額支給とした場合は、採用後に遠くへ転居した場合も全額支払わなければならなくなるし、これも支払う側からすれば経費増額であることや遠方通勤者をどこまで許容するか等も考慮し検討しておきたいものだ。
また、労働条件の異なる試用期間を設けたい場合等は、備考欄に「研修中、試用期間中は時給○円)等の記載をしても良い。

以上のように、ハローワークでの募集は基本的事項が網羅されているし、イリーガルな雇用条件にならないよう、処々に注意喚起されている。それに比較して、他の有料媒体では、(もちろん法律違反の内容を記載することはできないが、)より、希望を明確化でき、ターゲットを絞りやすくできるというメリットがある。
いずれにしろ、前記に挙げた事項は必要項目であるので、事前にぜひ検討していただきたい。


※この記事は、平成25年度の諸法令を基に作成しています。改正・改定の多い領域ですので、最新情報は都度ご確認いただけますようお願い申し上げます。

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posted by つぼみ応援団 at 06:28
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