2016年04月01日

☆1年単位の変形労働時間制

 前回は月内で繁閑の差がある場合に有効な「変形労働時間制」をご案内したが、今回は季節によって繁忙期と閑散期がある場合に有効利用できる「1年単位の変形労働時間制」、その要件は下記のとおりである。
1. 1か月超1年以内の期間で定める。
2. 労働時間の限度は1日当たり10時間、1週当たり52時間で平均して40時間以内とする。
3. 労働時間が48時間超となる週は連続して3回まで。また、3ヶ月ごとに区分した各期間においても3回まで。
4. 労働日数の限度は1年あたり280日まで。1年より短い期間を定める場合はその按分日数。
5. 対象期間における連続する労働日は6日まで。特定期間におけるそれは1週間に1日の休日が確保できること。
この制度を利用するためには、事前に労使協定を締結し所轄の労働基準監督署に届け出なくてはならない。対象期間を1か月以上ごとの期間に区分し、各期間における「労働日数」「総労働時間」を定める。また、各期間の始期前に「具体的な労働日」「各日の労働時間」を定めなければならない。


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2015年07月04日

◆事業所内に備えたい書式(バックナンバー)

・採用時の書類一式(前項参照)
・社員情報変更届
・労働者名簿
・タイムシート(出勤簿)
・有給休暇管理票
・在職証明書
・退職証明書
・労災報告書
・出産予定日申告&出産報告書
・育児休業申出書
・介護休業申出書
・退職願(連絡事項付)

以上、主だった書式をあげてみた。記載事項については、本人を確認できるような事項および証明されたい事項が内包されていればよい。要は、何に使用するため若しくはどこに提出するための証明書なのかを確認し、証明して欲しいという要望事項を盛り込んでいればよいのである。住居を借りるため、賃金に関するする事項が記入された「在職証明書」が欲しいとか、転職先に提出するため、退職理由が記載された「退職証明書」が欲しい等、用途に合わせて作成すればよく、手書きであっても表形式であっても構わない。「給与見込額証明書」や「在職期間証明書」という要望も案外多い。とにかく、証明内容を正しく記入し、証明書として代表者印が捺印されたものを作成すれば良いのである。インターネットを見てみると、無料テンプレートが数多掲載されている。それを参考に自分で作成しても良いし、ダウンロードしたものを自社なりの仕様に書き換えて利用しても良い。いずれにしろ、事業所名等を入れた書式を備えておけば軽微な労力で迅速に対応できるというものだ。
タイムシートや有給休暇管理票は、従業員自らが手書きで記入し、管理する様式にしておく。タイムシートであるなら日々、有給シートであるならば都度、上長が確認印を押す(又はサインする)ことで了承とする仕組みにするのである。どちらも、締日ごとに提出させるものとし、その段階でデータ化しておけば、長期保管や利用が易くなりより良いであろう。特に申請手続きに「出勤簿」が要求される例は多く、簡易な形式のデータでも何ら問題はないので、この方式は大いに役立つ。



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2015年06月01日

◆給与計算(バックナンバー)

【支給】
まず第一に来るのは「基本給」だろう。その他「諸手当」は各事業所ごと、職種ごとに自由に決めていただいて構わない。ただし一つ注意していただきたいのは、固定給(労務によって必ず支給される報酬)が最低賃金を下回らないことである。月給に設定しているとすれば、月給額÷所定労働時間が最低賃金以上であることが必須である。
そして、法に則り支給すべき項目としてよく挙げられるのは「勤務時間外手当」である。労基法により、「1日8時間、1週40時間を超えて労働させてはならない。また、1週1日又は4週4日以上の休日を与えなければならない」とされているが、もちろん、その枠を超えて労働させる、いわゆる残業をさせる手段はある。「時間外・休日労働に関する協定」(36協定サブロクキョウテイ)届を所轄労基署に提出したうえで、所定の割増賃金を支払えばよい。ただし、無制限に許されるわけではないのでご注意。ある程度の残業であれば、それによって賃金の割増になるので歓迎するという従業員もいる、要は法に則った割増賃金を支払い、労働環境が過酷にならないよう配慮することが肝要である。また、この36協定の有効期限は最長でも1年であり、期間ごとに届け出の必要がある。
では割増賃金をどのように設定するかだが、「所定の固定給÷総所定労働時間」を基本単価として割増率を乗じて算出する。ここにいう固定給から除外できるものは「家族手当」「通勤手当」「別居手当」「子女教育手当」「住宅手当」「臨時に支払われた賃金」「1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金」(各々個別要件あり)のみである。
割増率は時間外手当(1日8時間超、1週40時間超、等)が2割5分以上、深夜手当(夜10時以降翌朝5時まで)が2割5分以上、法定休日手当が3割5分以上であることである。残業しそれが深夜時間に及んだ場合は5割以上、法定休日であり深夜である時間帯に勤務させた場合は6割以上の割増賃金を支払わなければならない。
【控除】
給与から控除できる項目は法律によって定められている。所得税、住民税、社会保険料、雇用保険料のみである。それ以外の、例えば互助会費、貸付金の返済、旅行積立金、個人保険料、財形貯蓄保険料等を控除したい場合は前もって労使協定を締結しておけばよい。面倒がらずに最初に協定を締結しておけば、その後変更がない限り永遠に有効である。たとえ、従業員が入れ替わっても効力に支障はない。
では、法定控除項目の計算方法等についてみていこう。従業員の支払い給与から徴収する下記のものは、全て「預り金」であるので、それぞれ事業所がまとめて税務署等へ支払うことになる。
・所得税…総支給額から非課税支給額(通勤費や立替金等)を引き、さらに社会保険料を差し引いた金額が課税支給額となる。税額は税務署から配布される「源泉徴収税額表」にもとづいて、該当の金額欄を横軸に、扶養人数を縦軸に交わった金額を控除することになる。この「預り所得税」は給与支給日の翌月10日までに納付することになる(支給人員が常時9人以下の場合は半年分をまとめて納付することもできる)。
・住民税…支払方法には2通りがあり、一つは普通徴収(各個人が直接市区町村へ支払う)もう一つが特別徴収(勤務先の事業所が給与天引きしたうえで、各市区町村へ支払う)である。支払う金額に差異はないが、特別徴収の場合は、6月~5月までの12等分で払うのに対し、普通徴収の場合は、4期での分割になるので1度に支払う金額が多くなること、毎月の定期支出ではないので予算を組みにくいこと等の不便さがあり、従業員からは特別徴収を望む声が多い。
事業主は、毎年1月に全従業員の給与支払報告書(昨年末の源泉徴収票と同内容)を各従業員の住民票所在地に送付しなければならないのだが、その際に「普通徴収」か「特別徴収」を選択することができる。そして「特別徴収」を選択すると、4~5月頃に各市区町村より「特別徴収税額決定通知書」が送られてくる。その表に記載のある金額を当該従業員から控除することになるので特に計算も必要ない。ただし、市区町村はその予定額を事業所から納付されることを当然に予定しているので、当該従業員が退職したり休職したりして給与から控除できない等の事件が発生した時は都度、「異動届」を提出する必要がある。
特別徴収した住民税は、所得税同様、控除した翌月10日までに納付しなければならない(従業員が常時10人未満の事業主は半年ごとに納付することも可能)。
・社会保険料…健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の総称である。「社会保険への加入」の項で述べたように、健康保険料・介護保険料は各事業所の加入している健康保険により料率も異なるのでそちらで参照いただきたい。また、概ね保険料率が変更になるのは毎年3月分(4月納付分)からである。厚生年金保険料は毎年9月分(10月納付分)から改定される。今のところは平成29年まで段階的に引き上げていき、それ以降は固定されることとなっている。「預り社会保険料」は当該月分を翌月末日までに納付することとなっている。なので、給与からの控除も翌月控除(例えば、3月分を4月支払の給与から控除すること)が一般的である。
・雇用保険料…一般の事業の場合、労働者負担分は5/1000である。こちらは通勤手当も加えた総支給額に乗じて計算する。(ただし、立替金を便宜的に給与で支払うというような非支給項目は除く)この保険料率は年度(4月~翌年3月)毎に変更の可能性がある。さて、支払い方法だが、前「労働保険の加入」の項で述べたように、年度初めに概算保険料を納め、年度ごとに確定保険料との差額及び新年度の概算保険料を納める仕組みとなっているため、毎月の支払いはない。社会保険料とは違い個人別の金額を算出してくれることもなく、あくまでも事業所ごとの総支給金額で支払う。
気を付けなければならないのが、加入状態であっても、保険料が免除になったり、年齢によって増減が出てきたりすることだ。よくある事例を列挙しておく。
・40歳到達月から介護保険料徴収開始
・65歳到達月から介護保険料徴収停止
(いずれも誕生日の前日に「○歳到達」となることに注意)
・育児休業期間中の社会保険保険料免除(事業主分も免除)
・3/31現在満64歳以上の雇用保険継続加入者は4/1から保険料免除(事業主分も免除)
また支給明細書は、手書き手計算でももちろん構わないが、excel等の表計算ソフトを使えばより簡便であろう。また人数が増えてきたり、計算が煩雑になってくるようであれば市販の給与ソフトの利用も一考の価値がある。上記の様な年齢到達に連動して自動計算をしてくれたり、社会保険料の等級変更を示唆してくれたり、といった機能がついていたり、何より、割増賃金や税金を自動計算してくれるのはありがたく、様々な書式を印刷できるのも嬉しい機能だ。

ところで、前項「就業規則」の中で、「有給休暇」制度に触れたが、これは文字通り「休暇にも拘らず給与が支払われる制度」である。つまり、給与計算に盛込む要素が出てくる。月給者の場合は、欠勤控除をしないということで処理をすればよいのだが、時給者や日給者はその分も支払い給与に含めなければならない。時間給者の場合は何時間分を支払うのかをあらかじめ定めておいた方が良い。所定労働日数や所定労働時間が定まっている場合は簡単なのだが、まちまちである場合は平均をとることになる。付与日には日数および時間数を定め、できれば本人にも告知しておくことを勧める。

下記表の日数を超えて付与することは構わないが、下回ることはできない。

有休表.docx

★週以外の期間で所定労働日が定められている場合は、年間の労働日数で見る

入社から半年、その後は付与日の前1年間の、全労働日の8割以上出勤した者に対し、上記の勤務年数期間が経過するごと、毎年付与されるものとなる。ただし、「有給休暇」「業務上の負傷に伴う休業」「産前産後休業」「育児休業」「介護休業」は出勤したものとされる。つまり、産後、育児休業を取得した者は丸1年出勤していなくても、有給休暇は別途発生することになる。


※この記事は、平成25年度の諸法令を基に作成しています。改正・改定の多い領域ですので、最新情報は都度ご確認いただけますようお願い申し上げます。

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